建設情報局
建設業者数は、2000年代以降減少傾向にあり、近年では約47~48万社でほぼ横ばいの状況が続いています(グラフ①)。
一方、建設就業者数は、1997(平成9)年をピークに減少傾向に転じ、現在は約477万人となっています(グラフ②)。一方で、建設就業者のうち、36.7%が55歳以上となっており、他産業(55歳以上の就業者の割合は32.4%)と比べて高齢化が進行している状況にあります(グラフ③ )。将来的な担い手の不足が懸念され、次世代への技能承継が課題といえます。
一方、建設業への新規学卒者の入職者数は、2009(平成21)年の2.9万人がボトムでしたが、直近では4万人台で推移しています(グラフ④)。また、女性就業率について、建設業は他産業に比べて比率は低いものの、2023年には18.2%と過去最高値を記録する(グラフ⑤)など、女性活躍が進んできています。
将来の担い手を確保し、新規学卒者の入職や女性の活躍を更に推進していくためにも、長時間労働の是正と処遇改善(賃上げ)によって働きやすい環境作りを進めることは重要です。
労働時間について、2024(令和6)年4月から時間外労働の上限規制の適用が開始されているところ、近年では、他産業と比べると労働時間は長く、出勤日数も多くなっているものの、労働時間数、出勤日数ともに減少傾向にあり(グラフ⑥⑧)、時間外労働の上限規制に抵触するような長時間労働についても減少傾向が見られます(グラフ⑦)。
その要因としては、週休2日を確保した適正な工期の設定を推進していることがあり、公共工事において週休2日の取得が進んできていることが挙げられますが、民間工事における週休2日の確保には引き続き課題感があります(グラフ⑨)。
建設業で働く方の処遇改善について、公共工事設計労務単価が13年連続で引き上げられている(グラフ⑩)こともあって、処遇改善が進んでいますが、他産業と比べると未だ賃金は低い状況にあり(グラフ⑪)、更なる賃上げが課題です。
なお、建設業における労働災害発生状況は(グラフ⑫)のとおりです。死亡災害、死傷災害ともに減少傾向ですが、死亡災害は全産業の中で最も多くなっており、事故の型としては、墜落・転落が最も多くなっています。
「建設業における安全対策」をご確認いただき、労働災害の防止に向けた適切な取組を行っていただくことが必要です。
- グラフ①
許可業者数
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- グラフ②
就業者数
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建設業従事者数と
全産業に占める割合の推移 - グラフ③
高齢化率
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- グラフ④
新卒入職比率
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- グラフ⑤
女性比率
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- グラフ⑥
労働時間(1)
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産業別年間実労働時間
- グラフ⑦
労働時間(2)
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建設業における1か月60時間以上の
時間外労働を行う労働者割合の推移(産業別/正社員・正職員(パート除く)) - グラフ⑧
出勤日数
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産業別年間出勤日数
- グラフ⑨
発注者別休日数
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建設業における
平均的な休日の取得状況 - グラフ⑩
公共工事設計労務単価
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- グラフ⑪
賃金
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- グラフ⑫
建設業の労災発生状況
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建設業における
労働災害発生状況の推移死亡災害(資料出所:死亡災害報告(厚生労働省))
H28 H29 H30 H31/R1 R2※ R3※ R4 R5※ 前年比較 死亡災害 294 323 309 269 256 278 281 223 ▲58人20.6%減少 墜落・転落災害 134 135 136 110 95 110 116 86 ▲30人25.9%減少 ※新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除外したもの
休業4日以上の死傷災害(資料出所:労働者死傷病報告(厚生労働省)
H28 H29 H30 H31/R1 R2※ R3※ R4 R5※ 前年比較 死亡災害 15,058 15,129 15,374 15,183 14,790 14,926 14,539 14,414 ▲125人0.9%減少 墜落・転落災害 5,184 5,163 5,154 5,171 4,756 4,869 4,594 4,554 ▲40人0.9%減少 ※新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除外したもの